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善き人のためのソナタ

中古のプロジェクターを入手して以来
リビングがミニシアターと化している近ごろ。
何年か前に試写で見たことがあった「善き人のためのソナタ」。
あの時も涙がでたが…
やっぱり、やっぱり良い映画だった。

舞台は1984年、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。
主人公は、当時国民全体を監視していたシュタージという
監視機関のヴィースラー大尉。
ある劇作家と女優カップルが反体制であることの証拠を見つけるように、と
監視を命令されることで物語が始まる。
冷徹そのものだったヴィースラー大尉が、このカップルの監視をしていくうちに
次第に人間らしい感情を取り戻していく。
そして最終的には、自分のおかれた立場を越えて
この劇作家の逃亡を見逃してやることに…。

大尉の、まさに氷のような心を解いていくのが
物語中で効果的に現れる芸術の数々(ブレヒトの一節、
タイトルにもなっているピアノソナタ、芸術家たちの自由な思想などなど)
劇中、最初は無慈悲、冷血漢そのものだったのに
彼の表情に、次第に焦りや孤独などがにじみ出てくるのがいい。
大尉役のウルリッヒ・ミューエは
ほんっとーに素晴らしい俳優だな、と思っていたのに、
もうお亡くなりになっている。
残念です。
(実際に旧東ドイツ出身の俳優さんだったそう)

歴史映画なら、特にそれが戦争や政治に関することなら
ヒロイズムを全面に押し出して、涙を誘うことも
ただ残酷さだけを際立たせることもできる。
けれど、芸術という一面からあるひとつの事実を照射して
過去の出来事を、観るもの一人ひとりの心の中に再現させたところが
この映画の最も素晴らしいところだと思う。
何よりこの映画には希望と、指針がある。
どんな人も本当のところでは悪人になれないし
芸術の力で眠っている何かを呼び覚ますこともできる、という。

これは人生の中でもベスト10に入りそうなくらい、
好きな映画です。
ラストシーンはドイツ人ならではの寡黙なウィットに富んでいて最高。
http://www.albatros-film.com/movie/yokihito/intro.html

ある学芸員の方の言葉を思い出しました。
「美術館を一歩でて、これまでの価値観が
 がらっと変わってしまうほどのインパクトあるものが芸術ではないか」
この映画は、私にとってはまさに芸術に値する映画。
ますます美しいものが秘めた力を信じたいと思います。
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max

ありがとうございました。本日をもってBlog終えます。trikoさんが、一番最初に友達になってくれた人なので感謝申し上げます。 では!お元気で!
by max (2011-02-22 22:35) 

triko

maxさん、blog終えられるなんて淋しいです。
お忙しいかと思いますが、またこちらのblogにも
遊びにいらしてくださいね。
こちらこそ、ありがとうございました。
by triko (2011-02-24 13:11) 

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